桜丘高校演劇部のご紹介
「ラスト・パス」 松岡一夫+桜丘高校演劇部 作
桜丘高校は愛知県豊橋市にある創立92年を誇る私立学校です。普通科・音楽科・英数科・高等部の4つの科と、付属の中学校からなる全校2000名を超える生徒を有する東三河を代表する学校です。多くの部活動が全国レベルの活躍をしています。
東三河地域は伝統芸能や祭りの盛んな地域であり、手筒花火や鬼祭りなど、伝統行事に触れる機会の多い地区です。農業も盛んな土地。「オオバ」の生産量は日本一!電照菊やキャベツ、次郎柿や富有柿など季節の移り変わりを肌で感じることができます。一方、トヨタの工場や地元の工場が立ち並び、企業も多く、外に出ることなく地元で就職し暮らすことができる恵まれた場所です。
少し足を伸ばすだけで、渥美半島の表浜海岸でサーフィンができ(ここを舞台にNHKの朝ドラ「エール」が撮影されました)、奥三河の温泉に浸かりながら季節の風味を味わえ、豊橋動物園「のんほいパーク」で大人から子供まで楽しめます。
芸能が盛んな土地柄か、演劇への関心も高いと思います。毎年行われる「東三河演劇フェスティバル」にも、桜丘演劇部も参加しています。そして、何と言っても豊橋には「穂の国とよはし芸術劇場 PLAT」があります。2年前「春フェス」が行われた劇場です。ここを拠点に演劇文化が発信されています。高校演劇の地区大会は、夏も冬もここを使わせていただいています。こうした恵まれた環境で、東三河の演劇部は高いレベルを持つ、強豪校が多い地区であり、激戦区です。その中で、県大会を突破し中部大会に出場できたことは本当に喜びです。
さて、桜丘高校演劇部は、毎年多様なテーマを題材に演劇を作っています。奥三河のダムに沈む村、街を走る市電の情景、阪神大震災ボランティアを今も続ける生徒たち、豊橋妖怪物語、戦争の傷痕を今も語り継ぐため、豊川海軍工廠を題材にした「ハイネさん」、初の中部大会に出場したのは2年前、「断捨離家族」という作品でした。
そして本年度、2回目の中部大会を出場を果たした、「ラスト・パス」は、バスケット部のエースが、パラスポーツの「ボッチャ」に挑戦し、全国大会を目指すという、青春ストーリーです。「ボッチャ」は、この夏のパラリンピックでも盛り上がりを見せましたが、桜丘高校演劇部はいち早くこれを取り入れました。舞台上で実際に「ボッチャ」の試合が行われます。そもそも演劇は「偶然性」の芸術ですが、あえて「ボッチャ」というスポーツの偶然性を取り入れた芝居です。どっちにボールが飛んでいくか、役者はその偶然性に対応しながらアドリブを入れます。緊張感あふれるステージが、評価の対象になったのかもしれません。